【海外スリ体験】ドイツのケルンでカードや航空券をスられた手口と被害後の対応

ケルンでスリ被害ヨーロッパ一周

今回はドイツのケルンでスリ被害に遭った時の話です。

2000年代中盤、約四ヶ月を掛けてヨーロッパ一周バックパック旅行をしました。

ヨーロッパの中でドイツは比較的治安が良く、訪れた国の中では快適に過ごせた方ですが、巧妙な手口にやられてしまいました。

どなたかの助けになればと思い、その手口と対策、そして被害後に取った対応策をまとめておきます。

被害場所はケルン大聖堂すぐのホーエンツォレルン橋

ケルンには7月上旬に訪れました。

朝、フランクフルトからICE、日本でいうところの新幹線にあたる高速鉄道に乗り、お昼前にはケルンに到着。

ケルン中央駅を出ると、すぐ目の前にケルン大聖堂が見えます。

わたしはフランクフルトから鉄道で北上してデンマークへ向かう予定でしたが、その途中にあるケルンで一泊しようと考えていました。

ケルンへ寄りたかった大きな理由は、このゴシックの荘厳な佇まいが美しいケルン大聖堂を観る為だけのようなものでしたが、まずはその日の宿の予約をする為に、大聖堂は外観をちらっとだけ眺めつつ、とりあえずその日宿泊する予定だったユースホステルへ向かいました。

わたしの宿泊する予定だったユースホステルへは、ケルン中央駅から東、ライン川に掛かる「ホーエンツォレルン橋」を渡って行きます。

無事、宿泊手続きを終えたわたしは、さっそくケルン大聖堂へと向かうために、荷物を置いて、先ほど渡ったばかりの「ホーエンツォレルン橋」を再度渡って、ケルン大聖堂へ向かいました。

スリ被害にあったのは、この「ホーエンツォレルン橋」の上でした。

被害時の状況と手口

13時前後だったと思います。

「ホーエンツォレルン橋」を西に向かって渡っていると、目の前にケルン大聖堂が見えます。

だんだんと近づいてくる大聖堂を遠くに眺めながらワクワクした気持ちで橋を渡っていると、2人組の男性がにこやかに向こうから近づいてきました。

ホーエンツォレルン橋を、西側から3分の1ほど進んだあたりだったと思います

わたしの目の前で止まった二人は、向かって右の男性がにこにこと朗らかなほほ笑みを携えて、ドイツ語?でわたしに何か話しかけながら、40~50センチ四方くらいの木の板(ボード)のようなものを私のお腹あたりに差し出してきます

周りには他にもちらほらと橋を渡る人がいましたし、真昼間だし、身の危険を感じるような状況では無かったです。

ボードには、8~10枚くらいの女性の写真が貼ってあって、右の男性は写真を指差しながら、(言葉は分からないのでおそらくですが)

「好みの娘はどれだ?」
「〇〇€でどうだ?」

といったような事を、わたしに聞いてきているようでした。

要は(ちょっと言葉を選んで書きますが)女性の調達を斡旋しているようです。

わたしが「ノーサンキュー」と断っても、

「じゃあこっちの娘の方はどうだい?」
「金額は相談に乗るぜ」

といったようなことを言って、すぐには引いてくれませんでした。

ただ、二人ともにこにこしていて、強引さというものを感じる程ではなかったです。

3~4回「ノーサンキュー」とか、「アイ ドント スピーク ジャーマニー」とか適当に言って断ったら、意外とすんなりと諦めて、わたしの後方へと歩いて行って過ぎ去りました。

おそらく、足を止めていたのは1分程度だったと思います。

ヨーロッパに旅立つ際、事前にそれ系の誘いがあることは把握していましたし、もちろん怪しい場所に近づくつもりもなかったのですが、まさか昼間から、しかも橋の上でこんな勧誘が来るとおもっておらず、

「こんな事もあるんだな。」
「(そんなに強引に誘われたわけではないけど)次からはもっとキッパリ断ってしまおう」

と気持ちを引き締めて、再びケルン大聖堂へと向かって歩き出しました。

・・・

5歩か10歩か、いずれにしても大して先に進んでいなかったと思います。

ふと、肩掛けのショルダーバッグに目をやると、ファスナーが全開に開いています

「あれ?閉め忘れたかな?」

と思いつつ、まさかと思ってバッグの中に入れてある財布を確認すると。。。

無い!!

お気に入りの、ポールスミスの財布が無くなっている!!

この時点で心臓バクバク

くるっと振り返って、先ほどの二人が歩いていった方向を確認すると、その二人の姿は既にありませんでした。

大して時間も経っていないですし、一本道の橋の上なので、普通に歩いていたらまだ後ろ姿は見えていていいはずです。

この時点で確信しました。

やられた!!!

つまり手口はこうです。

・右の男が、私の腹のあたりにボードを差し出してくる
(ショルダーバッグが私の視界から消える)

・右の男がごちゃごちゃ喋っている間に、左の男がボードで手を隠しつつ、私のバッグのファスナーを開け財布を抜き取る

単純ですし、文字だけで見ると「そんな手口でスリに遭うなんて馬鹿だな」と思われるかもしれません。

ただ、今思い出しても会話の自然さ、犯行の流れ、掛かった時間など考えて、次に同じことやられても引っ掛かってしまうかもしれない、と思うほど見事でした。

スられた物

わたしは、初めての海外だったということもあり、貴重品を体中に分散させて保持していました

その日使う予定の、入館料や食費、小銭など最低限の金銭(数千円程度と、限度額低めのクレカ1枚)のみ入れた小さな財布を尻ポケットに(もちろんチェーン付き)。

これは最悪盗まれても大して痛くないし、万万万が一、脅されるようなことになったら、生贄として差し出すくらいの覚悟の財布です。

さらに、パスポートや少し多めの現金、クレカ1枚を入れたパスポートケースの大き目なやつを首からさげて服の下に入れたり、いざという時の最低限度のお金を袋にいれて靴下の中に入れたり。

そうして4~5か所に分散させていたのですが、スリに遭った財布には、

・現金500€程度と日本円3万円くらい
・国際キャッシュカード1枚
・飛行機の往復航空券(マレーシア航空)

が入っていました。

ショルダーバッグを肌身離さず常に体の前にして、腕で押さえて歩いているので、簡単にスリに遭うイメージが湧かず、少し現金が多めに入っていました。

被害後にやったこと

被害に遭って、以下の順番で対処しました。

1.国際キャッシュカードの利用停止手続き
2.ドイツ(ケルン)の警察に被害届
3.マレーシア航空の復路航空券再発行手続き

現金はすぐに諦めることにしました。

国際キャッシュカードの利用停止手続き

今もあるのか知りませんが、国際キャッシュカードというのは、当時三井住友銀行に日本円で入金したお金を現地通貨で引き出せるサービス用のキャッシュカードです。

すぐに事前に控えておいたサポート窓口に電話して、利用を停止してもらいました。

サポート窓口の男性は、その時点で直近に現金の引き出しが行われていないことも教えてくれました。

クレカが財布に入っていなかったのは幸いでしたが、もしクレカも盗まれていたら、警察に行く前に併せてこの段階で電話していたと思います。

盗まれたキャッシュカードは物理的に利用が出来なくなるので、日本に帰国後、再発行手続きは行いました。

ドイツ(ケルン)の警察に被害届

次にドイツ中央駅内にある警察に状況説明をしに行きました。

わたしはドイツ語も英語も殆ど話せませんが、翻訳機は持っていっていたので、筆談のような感じで状況を説明し、被害届を出しました。

届け出をしたのは、航空券の再発行手続きをする為に必要だと思われた為です。

ガタイの良い男性警察官が対応してくれましたが、(ニコニコと愛想よくというわけではなかったですが)、言葉の喋れない日本人だからといって邪険にすることもなく、真摯に対応してくれました。

ちなみに、当時はまだスマホが無かったのでこんなやり方でしたが、今であればスマホを使ってグーグル大先生に翻訳を行ってもらいながらもっとスムースにやり取り出来るかもしれません。

マレーシア航空の復路航空券再発行手続き

最後に航空券の再発行手続きです。

ケルンの警察で被害届の受理証明書のようなものを発行してもらい、マレーシア航空の支店で再発行をしてもらいました。

今であればeチケットだったりするので、もっと簡単かもしれませんが、わたしはこの時、紙の航空券だったのもあり、直接支店に行って再発行してもらいました。

紙航空券であっても、電話などで対応してもらえたかもしれませんが、わたしは電話だと言葉に不安があり、代行サービスなど使える状況でもなかった(多分)ので、直接窓口に行った方が早いと判断しました。

大体日本円で1万円くらいで再発行してもらったと記憶しています。

航空券のコピーもちゃんと取っておいたので、割とスムースに手続きはしてもらえました。

反省と対策

初めての海外旅行で、以下のことを気を付けていました。

・貴重品は分散させて持つ
・人で密集しているところには極力近づかない
・どうしても人ごみに紛れる場合は、バッグや貴重品に注意を払う
・事前に犯罪が多い地域を調べておき、近づかない

スリと言うと、気づかれないように人ごみに紛れてこそっとやるものだと思い込んでおり、それ前提の対策ばかりしていましたが、白昼堂々と爽やか(笑)にやられるとは思っていませんでした。

なんとなく、自分が男だというのも、女性よりは被害に遭いづらいのではないかという油断にもなっていたかもしれません。

被害に遭ったことが無い方は、

そんなんじゃ甘い対策だよ
とか、
自分は大丈夫
と思っているかもしれませんが、わたしも同じことを思っていました。

オレオレ詐欺じゃないですが、犯罪の手法も自分が考え付かない手口がドンドン編み出されていくので、対岸の火事とせずに気を引き締めて頂ければと思います。

対策としては、

・そもそも現金はあまり持ち歩かない
 (クレカ、電子マネーを使う)

・フレンドリーな奴でも気を許さず、視界を遮ろうとするものは自分に近づけない
 (何かのカモフラージュに使っているだけのケースもある)

・面倒でもバッグのファスナーに貴重品を入れるならキーを付ける

といったところでしょうか。

何度も両替をすると手数料分損してしまうのと、今よりはまだ現金しか利用できない店がヨーロッパでもちょこちょこあったので、まとめてある程度のユーロをキャッシュとして持っていましたが、今であれば当時よりもキャッシュはあまり持たなくて大丈夫かなと思います。

また、ずっと周りを疑ってい続けるのも疲れてしまいますが、見るからに怪しい奴、という人間じゃなくてもスリなどの犯罪者はいつでもどこにでも紛れ込んでいると肝に銘じてください。

(結果未遂に終わりましたが、マドリードの駅でも、バックパックのファスナーを開けようとする奴に出くわしました)

そして、「肌身離さず持っているし、抱えるようにしているから大丈夫」と思わず、貴重品を入れておくならば、多少面倒でもバッグのファスナーにキーをしておくくらいの対策はした方がいいと思います。

ちなみにわたしは以後、ショルダーバッグの中に財布などは入れず、首掛けのパスポートケースにお札やクレカ、航空券などを入れて、服の下に忍ばせるようにしました。

正直邪魔でしたし、夏だったので暑苦しかったですが、二度と同じ轍は踏むまいと思い、こういった対策に切り替えました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ヨーロッパの中では比較的治安が良いと言われるドイツのケルンでも、こんな犯罪に遭ってしまいました。

財布自体(ポールスミスのお気に入りだったのに!!)や航空券の再発行手数料と合わせて、金額換算で10万円以上の被害でした。

実は、4か月以上のバックパック旅行の、最初の1週間目くらいでこの被害に遭ってしまい、それから数日はかなり落ち込んだのですが、10万円というちょっと高い授業料のおかげか、より一層気を引き締めなおしたのもあり、その後はスリなどの被害には遭うことなく旅を終えることが出来ました。

こんな手口もあるんだー、という一つの参考として頂ければ幸いです。

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